社長ブログ
2019.06.06
前夜
水は動かないと淀んでいく。
逆に、清流の水は常に動いている。
澄んだ湖面は鏡のようだが、湖底からは常に新しい水がこんこんと湧き出ている。
流れている水も、そこに美しい風景を映している湖面の水も、水ではあるが「同じ水」ではない。
10年前と今の自分の写真を比べると明らかに変化をしている。
しかし日々の中では、その変化はよくわからない。
表から見て変化をしていないように見えても、実は日々変化をしており、中はまるで変っている。
体内で起こるこの現象を「新陳代謝」という。
そしてこの変化が活発であるほど、常に澄んだ清らかな状態、つまり淀んでいないと言うことである。
「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書)で分子生物学者の福岡伸一氏は、このことを「動的平衡」と言っている。そしてそれが、生命の元であると言っている。
会社の中も、常に変化を起こし、変化をしなくてはいけない。
活発に動いて、ある意味組織にストレスを与え、再生をしていかなくてはならない。
そして、新しい水を注ぎ込み、新しい変化を作るきっかけが、明日の経営計画発表会である。
さて、どうなるか? 楽しみである。
2019.06.04
歩く
出来れば、精神的なアップダウンはないに越したことはない。
しかし、人間であれば気分が良いときもあるし、悪いときもある。
気持ちが乗るときもあるし、乗らないときもある。
実は今日はあまり気分の乗らない日であった。しかし、どうしても外に出なければいけない用事もあったので、会社から外出をした。都内の用事だったので電車での移動である(都内は道が混む可能性があるので、基本的には電車移動である)。
電車での移動となると、否が応でも歩かなくてはいけない。そうすると、あら不思議、なぜか元気が出てきた。そうか、気分がすぐれないときは、体を動かせばいいんだ、と改めて感じた瞬間であった。
そういえば、毎週日曜日にジムに行くとき、ちょっと憂鬱になるが、いざ行って体を動かすと気分が良くなる。逆に言えば、体を動かさないと、精神的にも「ふんづまる」ということだ。頭で考えるのも大事だが、体を動かすことはもっと大事。感覚的には、体7割、頭3割といったところだろうか。社員、特に内勤の社員も時々外に行かさないとだめだな・・・とも思った。
自分も社員も、もっと外出をして、体を動かすようにしよう!
2019.06.02
婦人青少年会館
この写真はつい数か月前に竣工をした川口市内にある「婦人青少年会館」のフェンスである。
鋳物の一つの特長として、様々な造形が可能であることが挙げられるが、これもそれを生かしたフェンスである。正面から見ると単なる縦格子に見えるが、斜めから見ると柔らかい膨らみをが見えてくるというデザインである。つまり、見る角度でデザインが変化するということになる。
アートの世界では、絵画や彫刻から、様々な動く彫刻やデジタルアートといった動的なアートへとその表現方法が多様化している。特にデジタルアートの進歩はめざましく、プロジェクションマッピングもその一例であるし、トランプ大統領夫人と阿部首相夫人が出かけたデジタルアートミュージアムなどでは、斬新かつ参加型でのアートが楽しめる。
この鋳物のフェンスとデジタルアートとは比較する対象ではないが、動かないフェンスに対し、自分たちが動くことで変化がみられるデザインは、「静的」鋳物を「動的」な造形に変化させる一つの可能性を示している。
モリチュウの提案に対し、その意図を汲んでデザイン設計をしていただいた杉原設計様に感謝です。
2019.05.26
タツノ式ガソリン供給機
田町駅近くで見かけた不思議な鋳物製支柱である。
よく見ると「タツノ式ガソリン供給機」と書かれている。記録には昭和4年とあり、車が少しずつ普及し始めたころである。「赤坂区役所」にて使われていたとのことなので、そこにあったガソリンスタンドで使われたものであるようだ。
装飾よりは機能面を重視されてしかるべきものであるが、ガソリンが貴重品であったとうこともあるのだろうか、鋳物らしさをいかんなく発揮し、上部に照明を設置するなどして、機能と装飾をうまく融合させたデザインとなっている。また、写真では分かりずらいが、量を示す「リットル」の表示があったりして、細かいところにも手を加えている。
このガソリン供給機は特許品だそうだ。それを製作した「タツノ」という会社のエンブレムの中心には、日本の国旗がたなびいている様が鋳出されている。当時の日本の勢いと「タツノ」社の未来に対する意気込みを感じさせるとデザインの様にも思える。
この「タツノ」社。今では「株式会社タツノ」となり、世界三大ガソリン計量機メーカーに成長している100年企業である。
2019.05.25
黄金の日々
先日、大阪の堺に仕事で行った
堺と言えば、戦国時代に、貿易と武将たちへの武器弾薬や兵糧の提供で大繁盛したまちである。
また、千利休の生まれた場所ともいわれている。そして茶の湯は有力な武士達との接点となっていることは歴史を知る人たちにとっては当たり前のことになっている。
その堺に行った時にふと思い出したのが、かつてNHKの大河ドラマで放映されていた「黄金の日々」である。松本白鸚(当時は市川染五郎)演じる助左衛門が小僧から身を起こしルソン(今でいうフィリピン)島との貿易を通じ豪商になっていく物語。放映された1978年当時、私は12歳だったが、なぜかよく覚えている。そして、今回改めて原作を読んでみた。作者は城山三郎氏。
詳細は省くが、激動の時代を生き抜くヒントがいくつも読み取れる内容であった。有力者の、ある一方に加担することの危うさ。義を通すことで疎まれ追放されてしまう矛盾。まちに対する誇り。規制より自由な商売が街の活気を作り出すさま。そしてそれを失させてしまう戦等など。そんな中、最も感じたのは、小さいところにとどまっていては面白くないということ。過信は禁物だが、夢は大きく持ちたい。そんなことを感じた小説であった。
小説を読み終わったのが、ついさっき。そしてなんと、今日のブラタモリが「堺」特集。何とも偶然が重なった今日であった。