社長ブログ

2018.09.06

奇跡の社員(11)

重病のHはやっとのことで東京女子医大病院に入院した。これで日本で治療が出来る。ここで本当に「ホッと」出来た。Hの家族も同じ思いであったと思う。そしてチャーター便に同乗してきた娘さんの、最後まで気丈であった姿勢には敬意を表する。

Hの帰国翌日、月曜日の午前11時頃、領事館の方(矢崎さんという女性の方である)にお礼の連絡をした。そしたら、チャーター便を依頼した会社からも領事館に連絡があったとのことで、無事移送できたことを喜んでくれた。

同日、昼食時にチャーター便をお願いした会社からメールが届いた。青島経由で飛行距離が伸びたのと、為替レートの関係で、追加金額が発生するとのこと。確か20万円程度だったような気がするが、「もうどうでもいいっ」感じでオッケーした。

その後Hは東京女子医大で治療をつづけ、簡単ではなかったが、何とか三ヶ月後に退院、その後リハビリを行いながら少しずつ職場復帰を果たした。前述の通り、いまでは完全復帰している。東京女子医大の先生の話では、大連での初期治療が適切であったため、命を取りとめることが出来たとのこと。また、結果的に本人の足を切断しないという決断も正しかった。途中色々あったが結果的にはすべて上手く行った。まさに奇跡である。

その後、「急性壊死性筋膜炎」の大連での症例が少ないため、Hの治療経緯を示したカルテと写真が欲しいと大連の先生から言われていた。女子医大の先生も協力的で、気持ちよく提供してくれた。大連の先生にとっては貴重な資料であり、学生に対する教材にもなったはずである。そして何より、「3人中2人が死亡し、1人は足を切断をした」という実績しかなかった「大連大学附属中山医院」にとって、足の切断もせずに生き伸びたH自体も、奇跡であったはずである。