社長ブログ
2018.08.19
レオナール・フジタ
レオナール・フジタこと藤田嗣治の没後50年を期して「藤田嗣治展」が東京都美術館で開催されている。
実は今から12年前に没後120年を期して東京国立近代美術館でやはり藤田展が開かれていた。その時私は観に行っており、「カフェ」のポスターを購入した。そのポスターは今でも家の壁に飾ってある。
藤田は1920年代にフランスのエコールド・パリ(パリ派)の活動に参加をしている。そこで独自の画風に磨きをかけていったようである。エコールド・パリの活動ではボヘミアン的生活が主であったらしく、自由な表現を追求する時代背景の表れなのであろう。
フランスに渡った藤田ではあるが、やはり根は日本人である。その画風には和の要素がにじみ出てくる。特に藤田の絵の特徴である「乳白色の肌」と「輪郭」を描く画法は当時のヨーロッパの画壇ではセンセーショナルであったはずだが、これは浮世絵からの影響であることは間違いない。そして影を強調することなく立体感を表現する方法も浮世絵から来ているのだと思われる。
また、藤田の画題は独特の表情の少女が有名であるが、同時に「猫」も有名である。この猫の動きはリアルでその描写と表情は本当に「見事」としかいいようがないが、そこには鳥獣戯画の影響があるように思えてならない。
晩年はフランスに帰化した藤田だが、日本をこよなく愛した画家である。開催中のポスターにはこのような文字が飾っている。「私は世界に日本人として生きたいと願う」。第二次世界大戦の時は戦争画家とし従軍をし、その時の絵も残している。このような藤田の思いを理解しつつ作品を見るとまた面白いはずである。
※開催中の藤田嗣治展のガイドブックは「株式会社本村様」で製本されていました。